仏様・お地蔵さま 高野山のお地蔵さま お地蔵さまとは、踏まれても踏まれても怒ることもなく、屈することもない大地のように、大きな慈悲の心ですべてのものを育み育てていこうとする無尽蔵の力をもった菩薩さまです。私たちに一番身近な仏さまで、寺院のみならず まち角や峠にも多く祀られています。 仏教では六人のお地蔵さまが、それぞれ地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道輪廻の世界を担当して、人々を苦しみや災難から救いたいと願っておられます。 たくさんいらっしゃる仏さまのなかで、お地蔵さまは地獄にまで救いに来て下さいます。 お助け地蔵尊 むかし高野山に住んでいるおじいさんが熊野の辻を歩いていると「助けて〜」と声が聞こえました。 声のする谷をのぞきこむと、そこにお地蔵さまの姿が見えました。 おじいさんは、お地蔵さまを助け上げ道までお連れしましたが、お地蔵さまをさみしい場所に置き去りにするのが申しわけなくなり、高野山へとお連れして毎日お参りをしました。 すると、このお地蔵さまがみんなの願い事を一つずつきいて下さるようになったそうです。 今もたくさんの方がお参りに来られます おたけ地蔵尊 高野山で一番大きなお地蔵さまです。 たけさんという人が亡くなった夫のためにお地蔵さまをお祀りしたところから「おたけ地蔵」と呼ばれる様になりました。 地蔵不動尊 顔がお地蔵さま、体がお不動さまというお姿です。 建立者が、ひらがなで「かほちそう、からたふとう」(顔が小さくて、体が太く)と書いたのを、石工の人が「顔が地蔵で体が不動」と読み誤ってしまいましたとか…。 爪彫り地蔵尊 たいへん古い珍しいお地蔵さまです。お大師さまが自らの爪で彫ったという逸話から、爪彫り地蔵尊と名付けられたそうです。 汗かき地蔵尊 世の中の人々の苦しみを身代わりになり一身に受けていることで、いつも汗を流しておられるのだそうです。 身代り地蔵尊 右の頬に2センチ程の切り傷があり、「頬切地蔵尊」とも呼ばれています。 人の身代わりになって頬を斬られたという言い伝えがあります。 私たちの苦しみや痛みを、すべてこのお地蔵さまが代わって受け止めて下さっているので身代り地蔵尊と呼ばれています。 わらじ地蔵尊 足に病気のある人がわらじをお供えしたところ、たちまちに治ったという言い伝えがあるそうです。 お化粧地蔵尊 参道の中で、ひときわ目立ちます。 お地蔵さまにお化粧をして差し上げると、美人になるという話があります。 安産地蔵尊 「逆手地蔵尊」とも呼ばれ、錫杖(しゃくじょう)を持つ手が通常と違い、親指が下を向いています。 その理由はわかりませんが、現在、安産のお地蔵さまとしておまつりされています。 声明地蔵尊(声出地蔵尊) むかし虫歯になると楊枝(ようじ)をもってお参りしたので楊枝地蔵尊・歯痛地蔵尊とも呼ばれていました。 虫歯になったり、歯が抜けるとよい声が出にくくなります。 密教の声明を唱える時声が出ないと困るので、このお地蔵さまにお参りしたそうです。 笠地蔵尊(瞑目大師) 人々の病気に対してご利益があるといわれています。まず自分の病んでいるところをさすり、その手でお地蔵さまの同じところをさすります。 その後、もう一度自分の病んでいるところをさするそうです。 病や痛みが治った場合、笠をお礼としてお供えしたので「笠地蔵尊」と名付けられたそうです。